「うちの会社には健康診断がないけれど、受けさせなければだめ?」
「社員に健康診断を受けさせるとき、どのような項目が必要?」

健康診断に関して、このような疑問を抱く事業主の方がたくさんいます。

たしかに、健康診断を社員に受けさせるのは、何かとコストがかかります。「受けさせたくないなぁ」と思う方は多いでしょう。

しかし、正しく受診させなければ思わぬトラブルを招くことも。

そこで、健康診断の必要性や、受けさせなかったときにどのような影響があるのかをご説明します。

健康診断は会社の義務。社員に受けさせないとどうなる?


会社の事業主は、かならず社員に健康診断を受けさせなければなりません。これは労働安全衛生法(第66条一項)によって定められていることです。

同法律によると、以下2種類の健康診断が義務化されています。

・雇い入れるとき、および1年に1回行う一般健康診断
・粉じんや有機溶剤など特殊な物質を扱っている社員を対象とした特殊健康診断

対象として社員はもちろん、その他以下の方が当てはまります。

・勤務期間が1年以上、もしくはその予定がある契約社員
・1週間の勤務時間が、社員の4分の3以上に達するアルバイトやパート

もし、これらの健康診断を実施していなければどうなるでしょうか? 以下のようなことが起き、会社が損失を被ることになります。

法律に従って罰則(罰金)が課される

労働安全衛生法に違反することで、50万円以下の罰金が発生します。罰則対象はもちろん、社員ではなく会社です。

労働基準監督署(労基署)の指導が入る

労基署とも略されることも多い「労働基準監督署」とは、働く人々を守るために存在する組織です。

上述した労働安全衛生法のほかさまざまな法律が守られているか調査・指導する立場にあります。

健康診断をサボっていることが分かれば、立ち入り調査した上で指導。改善が見られなかったり、悪質だったりすると送検され、上記の罰則(罰金)が発生することになります。

これは、単に金銭的なデメリットが起きるだけではありません。その間は対応に追われることになり、時間的な面でも大きな損失です。

ブラック企業とみなされ評判が落ちる

健康診断を行わないことで、社員や周囲の人々から「この会社はブラック企業だ!」と認識されるようになります。

過労死問題が絶えないことからも、近年ブラック企業にたいする目が厳しくなっています。

ネットで情報を無数に得られることもあって、就活している方はその会社がブラックかどうかを十分に調べてから求人に応募するようになりました。

そこで判断材料の1つとして扱われているものが、健康診断の有無です。

つまり、健康診断を行わないということは、これから入ってくるはずだった優秀な人材を逃してしまっているかもしれないということ。もちろん、今いる社員もいなくなってしまう恐れがあります。

意外と関係しているかもしれない人材の不足という影響は、もっとも大きな問題と言えるかもしれませんね。

健康診断は会社の義務なのにやらない理由は何?

健康診断は法律で義務とされており、行わなければさまざまな悪影響をおよぼします。

しかし、それでも健康診断を行わない会社があります。それは何故でしょうか? どうやら、次のような理由があるようです。

費用が会社負担となるのが嫌だから

健康診断は原則会社負担となります。受診する場所によって変わりますが、社員1人につきだいたい5,000円~15,000円です。

また、健康診断は労働時間に含めて給料を発生させることが望ましいともされています。

経営が苦しい会社にしてみれば、二重に費用がかかる上に1日分の時間まで取られてしまうということになります。

このことから、「健康診断を受けるぐらいなら働け!」と法律に背いてしまうことがあるようですね。

経営者が義務であることを知らないから

今は誰でも気軽に会社を作れる時代です。一方で、労働安全衛生法をはじめとする法律をまったく勉強せずに経営を始める方も少なくありません。

健康診断が義務であることすら知らないというマネジメント層は、意外と多いようです。

健康診断で受けさせなければならない義務項目と省略基準

社員に健康診断を受けさせるときは、どの項目を受けさせるのかもしっかり把握しておく必要があります。

法律で定められている義務項目、および省略基準があります。これらは厚生労働省の資料(PDF)で確認できます。

※外部リンク 厚生労働省の資料(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/130422-01.pdf

【義務項目】

1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査
5 血圧の測定
6 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
8 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)
9 血糖検査
10 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11 心電図検査

【省略基準】

身長
20歳以上の者

腹囲
1. 40歳未満(35歳を除く)の者
2. 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断 された者
3. BMIが20未満である者(BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2)
4. BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者

胸部エックス線検査
40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者
1. 5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳) の者
2 感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者
3. じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者

喀痰検査
1. 胸部エックス線検査を省略された者
2. 胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核 発病のおそれがないと診断された者

貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、 血糖検査、心電図検査
35歳未満の者及び36~39歳の者

会社はできるだけコストが安くなるよう、省略できる項目や条件を把握した上で、義務項目を間違いなくカバーできるよう受診させることが求められます。

ただし、項目の省略はあくまでも医師が「必要でない」と認める場合にかぎります。年齢などで機械的に決めず、十分判断した上で決めなければなりません。

優秀な人材を長く確保するためにも、ぜひとも健康診断の義務の徹底を!

社員に健康診断を受けさせることは、会社の義務です。怠れば、罰金が発生するだけでなく、不信感から人材不足につながるなどの大きなデメリットにつながります。

反対に、社員の健康を気遣った会社は、周囲から信用されるとも言えるでしょう。

優秀な人材を確保したい方は、ぜひとも健康診断の徹底という足場固めから行ってみましょう。

また、人材不足に悩んでいる事業主の方。社員のパフォーマンスを最大限発揮させるためには、第一に健康であることが重要です。

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